タナカ

多分めっちゃタメにならない

セミ

セミの一生は短い命のことに比喩されることがよくあるが、彼らは可愛そうなものだ。夏の風物詩!と祭り上げておいて、いざセミを見ると「気持ち悪い」って言う。かく言う僕もあんまり好みではない。セミ界にも橋本環奈的な存在はいるだろうが、あいにく何倍も大きい我々人類はその審美眼を持ち合わせてはいない。基本的に虫は苦手だ。橋本環奈を美と捉える感性の持ち主に虫は美の要素を見いだせないのである。先日家の前に一体の正体不明の虫がいて家に入れなかった。じっとしているのも阿呆らしいのでジムに行った。戻ってきてもまだいる。お前は何をしている。虫たるもの、光めがけて飛んだりしないか。虫にも引きこもりという種類がいるらしい。なんだか自分を見ているようだった。万歩計が20を示し、腹が減ったらコンビニへ。大学生の夏はどこに行った。海も飲み会も僕の世界線に存在しないだろうか。海に行く目的が水と戯れることであれば、台風の中自転車に乗ったことで達成した。飲み会の目的が楽しさだったら僕には筋トレでいい。セックスがしたいのなら出会い系でもやればいい。夏を楽しんでいない、夏らしいことをしていない、と考えてしまうのも、セミが鳴かなくなったら終わる話だ。セミについて少し考えただけ少しは夏らしいことをしたのだろうか。