タナカ

多分めっちゃタメにならない

俺はイケメン(のはず)

京都を大雨が襲っている。そして講義が終わり家に帰ろうとしていた僕はその被害者である。異常に早く講義が終わり帰路につこうとすると目の前には滝のような降雨が広がっていた。“転ばぬ先に杖”どころか「転ばないだろう」と高を括るタイプの人間なので、もちろん傘はない。この状況に陥っているのは僕だけでなかった。その子もまた被害者であった。傘がなく途方に暮れている。しょうがない、そう思いコンビニへ向かった。500円もするビニール傘がこうやって売れていくのか、と何か経済学のようなものを感じその子がいた場所に向かった。その子はいた。まだどうしようという顔をしている。なぜか勇気を振り絞らなくても声をかける事ができた。

「法学の授業受けてたよね。傘入る?」

「え、いいの?」

「うん、代わりに法学のノート見せて欲しい」

「全然いいよ」

聞く所によると財布を忘れて傘も買う事ができなかったらしい。一瞬ナルシストになるが、この瞬間僕は自分をかっこいいと思ってしまった。まぁ僕も何気なく得をしているので一方的な親切ではないんだが、絶妙な親切だろう。青春アニメで出てきそうなシーンだ。これは惚れるだろう、その子が女の子だったら。